2018年11月19日月曜日

「二通の手紙」(平成30年11月19日)


 今日、一中で行われた研究授業の参観に行ってきました。3年2組の道徳の授業を見てきたのですが、白木みどりさんの「二通の手紙」をもとに、ルールについて生徒に考えさせる授業でした。

『ある市の市営動物園の入園終了時刻は午後4時。ある日のこと、その時刻をわずかに過ぎて入場したいと申し出てきた若い二人組に対して、入園係の職員は規則だからときっぱりと断ります。厳しすぎると周りの職員が言うと、何年か前に入園係を務めていた職員の話をその職員が始めました。毎日のように小学3年生ぐらいの姉と3,4歳の弟の二人が動物園の入場門の柵のところへやってきては、身を乗り出して中をのぞいたりしていましたが、ある日、今日は弟の誕生日で、貯めた小遣いを持ってきたと姉がお金を差し出しました。入園終了時刻を過ぎていましたが、終わりだと告げると残念そうにしている二人を見て、事情があって親と来ることができないのだと察し、特別に入場させました。しかし、午後5時の閉園時刻を過ぎても二人は出口へ来ません。動物園の職員全体で幼い姉弟を捜索し、1時間後に園内の雑木林の中の池で遊んでいた二人が発見されました。後日、その係員に、姉弟の母親からお礼の手紙が届き、事情があり遅くまで働く母を毎日待つ二人が寂しい思いをしている中で、忘れられない幸せな思い出ができたと綴られていました。しかし、喜びもつかの間、上司から渡された手紙は解雇処分の通告でした。事故につながるかもしれない無責任な判断をしたと言って当時の入園係はその日をもって職場を去りましたが、その人の言葉が今日のような場面で思い出されると、現在の入園係は語りました。』

 当時の入園係の行動をどう思うかと、授業をされた先生は生徒に問いかけました。幼い子どもたちのことを考えてあげたのだからいいことをしたと思うと言う生徒。もしものことを考えた時に、ルールはやはり大切と言う生徒。小学校でも道徳の授業では、登場人物のその時の行動についての葛藤を自分のこととして、その判断について考察しますが、中学校の授業では、さらに人としてどうなのか、社会人としてどうなのか、より一層広い視野で考えます。ルールは何のためにあるのかということを改めて考えさせられ、ルールを通して社会をよくするということはどういうことだろうと考え、自分の生き方を考える授業でした。