2019年6月18日火曜日

忘れられない光景(令和元年6月18日)

 うるおいの庭を彩るきれいな花。そしてその花にはたくさんのチョウがやって来ます。さっき校長会から戻った時には、アゲハチョウを見つけました。

 もう24年も前の今日のことです。この日は日曜日。しかしわが家の子どもたちの顔は曇っていました。昨日から一泊だけ入院先から外泊の許可が出ていた子どもたちの母親がもう病院に戻らなければならない時間が迫ってきたからでした。昨日の夜は、久しぶりに笑顔と笑い声の絶えない食卓でした。朝もいろいろな話を母親にする子どもたち。でも、午後からは病院に戻らなければなりません。

 そんな時、ベランダの壁のところで蛹になっていたアゲハチョウが羽化しているのを子どもたちが見つけました。すでに翅(はね)は伸び、その姿の美しさはこれまで見たアゲハチョウの中でも一番でした。「お母さん、来て〜!」一番下の子がベランダへ母親を連れてきました。そして、そのタイミングでアゲハチョウは空高く舞っていきました。高く高く。親子5人が揃って、高く舞うアゲハチョウを見上げ、見送りました。その後、子どもたちの母親は病院へ、私が運転する車で戻りました。

 アゲハチョウを5人で見送ったのが、家族みんなで一緒にした最後のことになりました。アゲハチョウを見るたびに、子どもたちはこの日の出来事と母親のことを思い出します。