私がまだ3歳から小学校一年生になる頃、大相撲のテレビ中継を観た日は、夕方父が仕事から帰るのが待ち遠しかった。
相撲好きだった父の影響で物心がついてから相撲をテレビで観るようになっていた私は、父が帰宅するとその結果を「一人相撲」で伝えた。
新聞広告で作ったちょんまげを頭に付け、やはり新聞広告で作ったさがりを腰に付け、一生懸命伝えるのだが、父は笑っていた。母も笑っていた。
私だけが顔を真っ赤にして必死で相撲を取っていた。最後は一人で倒れるか、寄り切られるか…。
その頃のことを懐かしみ、いつも笑いながら話してくれた父が逝ってから、2年と7か月。