13:10〜13:25は、本校の掃除の時間です。1年生から6年生まで、自分たちの教室をはじめ、校内様々な場所の清掃を全校一斉に行います。
ずっとずっと前のこと、私の受け持つ学級に、アメリカからの転校生がやってきたことがありました。日本語はほとんど話せませんでした。国によって「文化や習慣の違い」があり、それを理解することは、難しい場合もあります。ましてや、言葉が通じない中で、日本の学校生活を、その意味も含めて伝えることは、大変困難なことでした。
例えば給食。日本の小学校では、自分の教室で給食を食べることが当たり前ですが、アメリカではカフェテリアや屋外のテーブルでランチを食べます。その転校生も給食を教室で食べると知って驚いていました。「学習する場所と食事をする場所は別ではないのか?」と質問されました。
節分メニューで、豆まき用の大豆が給食についていた時のことです。「1粒か2粒だけ、豆まきをしようか!」と担任の私が言うと、児童は喜んで教室の窓から豆をまきました。すると、転校生は私のところへ飛んできてこう言いました。「なぜ豆を捨てるのか?捨てるのだったら、豆が大好きだから私にくれないか?」
掃除の時間も「なぜ子どもたちが掃除をするのか?」と質問するので、「これも学習だ。みんなで自分たちが使っている場所をきれいにしている。」と答えました。アメリカでは、掃除のプロの人(専門の清掃員)が学校の掃除をします。それから転校生は、「クリーンナップ・アワー♪」と歌いながら(?)掃き掃除をしていました。
日本の掃除を通じての教育の意義を評価する声も世界においてはあります。一方で本当にきれいに環境を整えるのなら、清掃員などが掃除を行うべきであるという声も聞かれます。本校児童が掃除をする姿を見ながら、転校生のことを思い出したり、小学校の清掃がどうあるべきだろうと考えたりしていました。