2020年3月18日水曜日

出会えた「奇跡」に感謝を!(令和2年3月18日・卒業式校長式辞より)

 6年生の皆さん、卒業おめでとうございます。今日3月18日、私は皆さんの卒業式を楽しみにしていました。希望と期待に胸を膨らませ、晴れやかな表情の皆さんの姿を見たかったからです。しかし、今日の卒業式は、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のための臨時休業により、約20日ぶりに皆さんと会う場にもなりました。先ほど、卒業証書を授与しましたが、皆さん、お元気ですか?

 11年前、新型インフルエンザの流行により、本市でも中学校で一週間の臨時休校措置を取ったことがありました。未知のものへの恐怖はその時も同じでしたが、感染症には誰もがかかる可能性があり、一人ひとりが冷静に対応することが必要です。噂や誹謗中傷に惑わされることなく、自分自身でしっかり事態を見つめ、適切な行動を取るように努めることは、これからの人生にも大切なことです。今回の出来事は大変残念なことですが、社会での生き方を学ぶ機会にして欲しいと願っています。

 保護者の皆様、お子様のご卒業、まことにおめでとうございます。卒業式の内容を大幅に縮小せざるを得ず、まことに申し訳ございません。しかし、無限の可能性を秘めた6年生児童の門出を、皆様とともにお祝い申し上げ、お子様が6年間の長きにわたる小学校生活を基盤に、今後、心身ともにさらに大きく成長されることを心より願っております。

 さて、皆さん。私自身も人生の中で、学校を卒業したことが4度あります。小学校、中学校、高等学校、そして大学です。今日の皆さんと同じ、小学校の卒業式の時には、「卒業」ということにあまり実感が湧きませんでした。その時、たくさんの友達が、そして担任の先生も泣いていましたが、私は何が楽しかったのか、笑ってばかりでした。その後の中学校、高校の卒業式は、直後に入試を控え、また、大学の卒業式は、小学校の教壇に立つ日が目の前に迫っていることもあり、それらの方に気を取られていたように思います。

 そして今、よくよく振り返ってみますと、卒業式以後、一度も会っていない友達や先生が沢山いることに気が付きました。私は、地元の公立中学校に進学しましたので、小学校からのたくさんの仲間と一緒だったように思いますが、それでも何人かの友達とは、卒業式以後、一度も会っていないのです。さらに、中学、高校、大学では、卒業式の日が本当に たくさんの人との、最後の出会いの日となってしまっています。

 輝かしい卒業を迎えた今日という日は、2度と戻りません。友達や先生の笑顔を、しっかりと心に刻んでおいてください。今日まで大切な日々を積み重ねたかけがえのない6年間を、世界中にたくさんの人がいる中で、この味舌小学校という場所で出会えた友達や先生と過ごせたことは、ある意味「運命」であり、「奇跡」です。そして、この「奇跡」を生み出してくれたのは皆さんのご家族です。どうか、今日はご家族の皆さんへ、しっかり感謝の言葉を伝えてください。

 さあ、お別れです。そして、同時に出発の時です。これからもまっすぐに、しなやかに、たくましく生きてください。変化の激しいこれからの時代を、しっかりと生きぬいてください。

 以上、私からの式辞とします。本日はまことにおめでとうございます。